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【コラム】相続人の中に認知症で判断力がない人がいた場合

2020-10-08

遺産分割には全員の合意が必要

相続人の中に認知症で判断力がない人がいた場合、どうすればよいでしょうか?

遺産分割は相続人全員の合意がないと行えないので、そのままでは進めることができません。

成年後見

判断力がない人がいる場合、成年後見人を付けることが考えられます。成年後見人は精神上の障害により事理弁識能力がない常況にある場合に、親族などの申し立てにより選任されます(民法7条)。申し立てが可能な親族が4親等内に限られますが、たいていは相続人どうしはその範囲に収まるので他の相続人が申し立てることもできます。

 成年後見人が選任されれば、成年後見人が本人の代わりに遺産分割協議をすることができます。

成年後見制度を利用する場合の問題点

 成年後見制度の利用ですが、問題点もあります。まず、遺産分割に関しては、成年後見人は本人のために行動することとなっていますので、法定相続分を下回る遺産分割は基本的にできないと考えられています。それによって、遺産分割を柔軟に進めることが難しいという問題があります。

 また、成年後見制度はもともと事理弁識能力を失った者を保護するための制度です。それゆえ、その状況が変わらない限り、後見開始開始の審判が取り消されることはありません。つまり、一度後見人を付けたら、付いたままということになります。これ自体は被後見人にとって望ましいことではありますが、一方、問題もあります。一つは、弁護士や司法書士などの職業後見人(専門職後見人)の場合、毎月報酬が発生するということです。相場は月3万円程度だと言われていますが、家庭裁判所が決定します。これは被後見人の資産から支払われることになもう一点は、親族が後見人をする場合は、毎月家庭裁判所に対して報告をするなどの業務が負担になるということです。それゆえ、親族の中でだれも後見人を引き受けたがらないということもあり、そうすると、結局、申し立ての際には後見人候補者については記載せずに申し立てることになります。その場合は、家庭裁判所が名簿の中から選ぶことになり、職業後見人(専門職後見人)が付くことになります。

まとめ

 このように、相続人の中に判断力を失っている人がいても遺産分割協議は可能ですが、そのためには成年後見制度の利用が必要となる場合があります。しかし、成年後見は一度開始の審判がなされれば、被相続人が事理弁識能力を回復しない限りは、後見人が付いたままとなります。その間、専門職後見人だと報酬が必要であり、また、親族が後見人となる場合には後見業務について家裁への報告を自分でやらないといけないため負担が重くなります。そのような問題点も考えて、成年後見制度を利用するかどうかを検討する必要があります。

【お知らせ】立川・所沢の相談可能な日時について

2020-10-06

多摩中央法律事務所は立川所沢に事務所があります。

立川には弁護士が1名、所沢には3名が所属しています。

*所沢の1名はプライベートな理由で休業中

立川は、平日午前10時から午後10時まで営業(電話は午後9時30分まで)、土日は午前10時から午後7時まで営業、となっております。所沢は平日は同様に、平日午前10時から午後10時まで営業ですが、土日はいずれか一方は休業のことが多いです。

 なお、当日でもスケジュールが合えばご相談可能ですが、弁護士が裁判所に行っているなどで不在のこともあるので、まずはお電話か電子メールでお問い合わせ、ご予約をお願いします。

 相続に関する相談は初回1時間無料なので、まずはご相談ください。

【コラム】高齢の親の財産の管理について

2020-10-05

親が高齢になり、預貯金や株式などの財産の管理が不安だという方は多いと思います。そのような場合、どうすればよいのでしょうか?

まず、今の時点では判断力に特に問題がない場合には、将来に備えて任意後見を検討してみると良いでしょう。

一方、現時点で判断力の低下がみられる場合は、以下のような方法が考えられます。

 

親に判断力が全くない場合

 成年後見について

 親が認知症などで判断力が全くない場合には、成年後見の申し立てをするということが考えられます。これが認められるためには、事理弁識能力がないと認められることが必要です。

成年後見の申し立てができる人

本人、配偶者、4親等内の親族、などです(民法7条)。

成年後見の手続き

家庭裁判所に申し立てをします。そうすると、家庭裁判所が審理をして、要件を満たしていれば、成年後見開始の審判をします。申し立てに際しては、診断書、戸籍抄本などの書類の添付が必要です。申立書の作成を弁護士に依頼することもできます。

成年後見が認められるためには

事理弁識能力がないことが必要です。診断書が必要なのは、裁判所がそれを判断するためです。

成年後見の効果

 後見人は、被後見人の財産を管理する権限を持ち、かつ、財産の管理について代理権を持ちます(民法859条1項)。また、被後見人の法律行為は、日用品の購入その他日常生活に関する行為を除いて、取り消すことができます(9条)。

 これを簡単に言えば、被後見人の通帳や印鑑を後見人が預かり被後見人が勝手に預貯金を使ったりできなくなること、代わりに後見人がそれらの使い方を判断すること、万が一被後見人が後見人に無断で契約などをさせられても後見人は原則として取り消せるということ、です。

成年後見の問題点

 成年後見は一度開始されると、被後見人の状態が変わらない限り、途中でやめるというわけにはいきません。また、後見人として弁護士や司法書士などの専門家が選任されると月々の報酬が必要となり(被後見人の資産から支払うのが原則)、一方で、家族が後見人になると家庭裁判所への毎月の報告が負担となります。したがって、いずれにせよ、何らかの負担が生じるということは事実です。

判断力がやや残っている場合

 判断力がやや残っているが不安がある場合には、補佐や補助の申し立てをすることも考えられます。

補佐について

補佐の申し立てができる人

本人、配偶者、四親等内の親族、などです(民法11条)。

補佐の手続き

家庭裁判所に申し立てをします。そうすると、家庭裁判所が審理をして、要件を満たしていれば、補佐開始の審判をします。申し立てに際しては、診断書、戸籍抄本などの書類の添付が必要です(それらの書類は基本的に成年後見の場合と同じです)。申立書の作成を弁護士に依頼することもできます。

補佐が認められるためには

精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分であることです。

補佐の効果

 一定の法律行為をするためには保佐人の同意が必要となります(民法13条1項)。同意が必要な行為としては、借財や保証、訴訟行為、贈与、相続の承認、相続放棄、遺産の分割、などが含まれています。さらに裁判所の判断で、同意を必要とする行為を増やすこともできます(民法13条2項)。

補佐の問題点

 成年後見と同様、状況が変わらない限り途中で外すことはできない、専門家が保佐人になると報酬が必要、家族が保佐人になると業務の負担が重いうえに家庭裁判所へ定期的に報告が必要、などの問題があります。

 

補助について

補助の申し立てができる人

本人、配偶者、四親等内の親族、などです(民法15条)。ただし、本人以外からの申し立ての場合は本人の同意が必要です。

補助の手続き

家庭裁判所に申し立てます。必要書類は基本的に成年後見や補佐と共通です。

補助が認められるためには

精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分であることが必要です。

補助の効果

家庭裁判所の審判により被補助人が特定の法律行為をするにはその補助人の同意を得なければならない旨定めることができます。ただし、本人以外からの請求の場合は本人の同意が必要です。

補助の問題点

 専門家を補助人とした場合に費用が掛かることや、家裁への報告等が負担となりうる点は後見や補佐と同様です。

また、補助の場合は、まず開始のための申し立てにおいて本人の同意がないといけません。また、特定の行為について同意を必要とする際にも本人以外からの申し立てだと本人の同意が必要な仕組みとなっています。それゆえ、本人の自覚と協力がないとこの仕組みを有効に使うことはできません。

 

まずはご相談を

 法定後見制度(成年後見、補佐、補助)はそれぞれ要件も違い、複雑です。まずは弁護士にご相談ください。

当事務所では、後見に関する相談は、1時間まで無料とさせていただきます。

なお、ご依頼の場合は、原則として着手金11万円(税込)、成功報酬11万円(税込)、で可能です。

*複雑な案件では異なる場合もありますが、必ず、最初に説明し、契約書にも明記させていただきます

まずは、お電話か電子メールでご予約の上、立川か所沢の事務所までご来訪ください。

【コラム】遺産分割の交渉をご依頼頂いた場合

2020-09-30

遺産分割について、当事者どうしでは協議がまとまらない、あるいは、兄弟姉妹が疎遠で協議がしづらい、などの理由で弁護士にご依頼される方も多くおられます。では、弁護士に依頼して協議を進める場合、どういう手順で行われるのでしょうか? 

 

1、相続人の調査

 まず、誰が相続人かを調べる作業が必要です。多くの場合、相談、依頼に来られた方は、おおよそ把握はされていると思いますが、念のため、被相続人について、生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本をとって調査をします。この際、原戸籍と呼ばれる古い戸籍も取得する必要があります。そうして調査すると、相談者の方も知らなかった子の存在が明らかになったり、思わぬ養子縁組が明らかになることもあります。こうして調査した結果判明した相続人すべてを交渉の対象とする必要があります。

2、遺産の調査

 上記1と並行して、遺産として何があるかの調査も必要となります。不動産、預貯金、株式、現金、自動車、その他様々な遺産がありえます。ケースによっては、著作権や特許権などの無体財産権が含まれることもあります。不動産は同一市町村内なら名寄帳で確認することができます。預貯金は各金融機関の支店に問い合わせると良いですが、これは相続人自身が行うほうがよいでしょう。被相続人が住んでいた場所の支店など、口座がある可能性が高いところに問い合わせる必要があります。その他、被相続人と同居していた親族など詳しい相続人がいる場合は、協力を求めつつ、遺産の全貌を明らかにしていきます。

 

3、交渉

 相続人と遺産の範囲が確定したら、弁護士は各相続人と交渉に入ります。この際、連絡先が分からない相続人がいる場合でも、戸籍の附票や住民票を調査することで、住所を調べることができます。

 交渉においては、遺産を具体的にどのように分けるかを協議します。法定相続分に基づいて協議するのが一般的ですが、合意できれば、法定相続分にとらわれずに自由に決めることができます。また、交渉を有利に進めるために自らの寄与分や他の相続人の特別受益を主張することもあります。いずれにせよ、協議では全員の合意が必要です。逆に言えば、全員が合意できれば、原則、どういう分け方をしてもかまいません。一人が不動産をすべて相続する代わりに他の相続人に代償金を支払うというような合意がなされることもあります。

 なお、交渉に期限はありません。よく10か月以内では? と聞かれますが、10か月というのは相続税の申告、納税期限であり、遺産分割の期限ではないです。遺産分割を終えていなくても納税はしないといけないし、また、できます。(ただし、小規模宅地特例の適用を受けたい場合のように納税期限までに分割したほうが良い場合もあります。小規模宅地特例など、相続税に関することは、詳しくは税理士にご相談ください。当事務所に遺産分割の交渉等をご依頼頂いた場合には、税理士の紹介をすることもできます) したがって、相続税がかかるケースでも、納税は期限内に行いつつ交渉を継続することもできるし、また、そもそも、基礎控除内に収まり課税がされないケースも多いです。

 

4、合意と名義変更

 合意ができれば、遺産分割協議書を作成してそれに基づいて、土地の登記や、預貯金・株式などの名義変更を行います。この際、登記は別途司法書士を紹介させていただくことができます。遺産分割協議書については、登記変更の関係上、通常、相続人ご本人様に印鑑証明をご用意いただいて実印で押印頂きます。このようにして、不動産、預貯金・株式、自動車、などの名義変更を行い、現金の引き渡しも終われば、遺産分割は終了です。

 

5、遺産分割協議を弁護士に依頼するメリット

 遺産分割協議を弁護士に依頼するメリットですが、専門的知識に基づく交渉が可能であり、本人が直接他の相続人と話す必要がなくなる各種書類(戸籍謄本など)の取り寄せや相手方住所の調査を弁護士に任せることができる、などが挙げられます。

 

 

【コラム】遺言書を書いた後事情が変わったとき

2020-09-25

遺言書を書いた後、

・資産の状況が変わった(土地を売った、買った、預貯金が減った、増えた、保険に入った、解約した、など)

・推定相続人との関係が変わり、だれに遺産を残したいかという考えも変わった

など事情が変わることがあります。そのような場合、どうすればよいでしょうか?

 

1、遺言書の変更に関する基本的な考え方

 遺言書は後から書いた方が有効になります。公正証書か自筆証書か、という形式は関係ないです。

それゆえ、先に書いた遺言を全面的に改めたい場合、新しく遺言書を書き直せばよいことになります。

 

2、自筆証書遺言は訂正できるが

 自筆証書遺言は民法が定める形式に従えば、訂正できます。ただし、方法が厳格に決まっており、ミスをする恐れも考えると、書き直したほうが良いと思います。自筆証書遺言の訂正の制度は、内容を大幅に変更するというよりは、誤記の訂正など微修正の際には使いやすい仕組みですが、大幅な変更がある場合は、書き直すことが望ましいと言えます。

 

3、新しく書き直す場合の注意

 遺言書を新しく書き直す場合ですが、以前の遺言書と新しい遺言書が抵触する場合、新しいものが有効となります。しかし、抵触しない部分はそのままになってしまうので、抵触しない部分も撤回したい場合は、新しい遺言書の中で以前の遺言書を撤回することを明記しておくことが必要です。

 

4、まずは弁護士に相談を

 遺言書を作成する際、有効なものにすることはもちろん、内容は充分検討する必要があります。遺留分を侵害した内容だと遺留分侵害額請求(以前の遺留分減殺請求)をされる可能性もあり、また、最新の資産の状況を反映していないと意図したのとは異なる結果になりかねません。例えば、長男に多く相続させるつもりで「株式をすべて長男に相続させる」という遺言書を書いていても、実際の相続までに株価が下がってかえって長男に不利な内容になりかねない、ということあります。あるいは、一部の土地を売却したのに遺言書ではまだあるかのように書かれているとこれも争いのもとになります。また、形式的な面では、不動産の記載が不明確だと登記の際に問題が生じる恐れもあります。このように、遺言書は、最新の資産状況を反映して、かつ、遺留分なども考えて作成することが望ましいと言えます(もっとも遺留分を侵害する遺言書も適法ですから、敢えてそれで書くということもできますが、そのリスクは把握しておいた方が良いでしょう)。さらに、相続後に登記や名義変更を円滑に行うためには、遺言執行者を定めておいた方が良いでしょう。

 遺言書を書くことには、本来、このように複雑な考慮が求められます。それゆえ、まずは法律の専門家である弁護士にご相談いただくことが望ましいと言えます。弁護士は、遺言者から求められれば継続的に相談に応じることもできますし、また、遺言執行者を務めることもできます(弁護士法人の場合は、弁護士法人を執行者にすることが多いと思います)。

 当事務所では遺言の相談は1時間まで無料です。まずは、お電話か電子メールでご予約の上、ご相談ください。

【コラム】子がいなくても遺言書を書くことが望ましい理由

2020-08-26

1、兄弟姉妹が相続人になる

遺言書を書くというと、子が何人かいてそのままだと遺産分割の時に揉めそうだから、というような動機が多いと思います。これに対して、夫婦だけの場合は、片方が亡くなれば配偶者が家や預貯金を相続するので問題ない、と考えているケースも多いのではないでしょうか?

 しかし、ここに一つ注意しないといけないことがあります。それは、子がいない場合、兄弟姉妹も相続人になるということです(亡くなった人の親や祖父母はすでに亡くなっている場合。親など直系尊属が健在だと、兄弟姉妹は相続人になりません)。すなわち、相続人が配偶者と兄弟姉妹の場合、配偶者に4分の3、兄弟姉妹に4分の1、が法定相続分となります。

 

2、兄弟姉妹が相続人になると何が問題が

 兄弟姉妹が相続人になると、自分が亡くなったら配偶者に家や預貯金を残すつもりが、兄弟姉妹から法定相続分に従って遺産を分割するように求められた結果、配偶者が困窮してしまうこともあり得ます。特に、住宅の価値が高く、一方で預貯金は多くない場合、そのような問題が起きがちです。

 また、兄弟姉妹が多い場合には起こりがちですが、1名が遺産分割案に合意しなければ、たとえ、その1名の相続分がかなり小さくても、遺産分割は完了しません。もし、相続人の中に1名でも認知症などで遺産分割協議が法的にできない状態の人がいれば、なおさら長引く恐れがあります。そうすると、預貯金の引き出しも自由にはできません。兄弟姉妹が亡くなっているとその子(被相続人の甥、姪)が代襲相続することになるので、相続人の数がかなり多くなる場合もあります。そうすると、誰か1名が合意してくれない可能性というのは低くはないと考えられます。また、人数が多いと、相続人のうちの1名の行方が分からないというようなことが起きるリスクも高まってしまいます。その場合でも、法律上、解決する手段はありますが、時間と手間はかかります。

 

3、遺言書を書いておけば

 適切な遺言書を書いておけば、それによって、全額を配偶者に相続させ、不動産の登記や株や預貯金の名義変更もできます。念のため、遺言書作成手続きを依頼している弁護士ないし弁護士法人を遺言執行者に指定しておくと、手続きもスムーズにできると考えられます。

 兄弟姉妹には遺留分がないので、遺留分侵害額請求(以前の遺留分減殺請求)をされる恐れもありません。

4、まずは弁護士にご相談を

 どのような内容の遺言書を書けばよいかわからないという方は、まずは弁護士にご相談ください。また、弁護士に依頼した場合には、通常、弁護士ないし弁護士法人を遺言執行者にすることもできるというメリットがあり、そういう意味でも弁護士への相談が望ましいといえます。

 当事務所でも相続の案件には力を入れていますので、まずはご相談ください。お電話か電子メールでご予約の上、立川か所沢の当事務所まで一度ご来訪をお願いします。(場合により、出張相談も可能です) 初回1時間までは、相談料はかかりません。

【コラム】遺言を書いておくことが望ましい理由

2020-08-20

1、遺言とは

 遺言は、民法で定められた制度であり、一定の方式に従わないと効力がありません。これを要式行為、といいます。よく使われる遺言の種類としては、自筆証書遺言公正証書遺言があります。自筆証書遺言だと要式に違反していたために無効になってしまう事例もありますが、公正証書遺言だと遺言者が口述したものを公証人が公正証書遺言として作成を行うので形式の問題で無効となる心配がなくなるといえます。

 遺言では、具体的にどの相続人がどの遺産を相続するかを定めることができます。相続分(割合)だけを指定することもできますが、紛争の防止のためには具体的にどの遺産をどの相続人が相続するかを指定したほうが良いと考えられます。

2、遺言を作成するメリット

 遺言を作成するメリットとしては、

・自分の想いを反映した相続内容とすることができる

・紛争を事前に防止できる

・相続関係の手続きがスムーズに進む

が挙げられます。すなわち、遺言がないと原則は法定相続分に従った相続となるので意中の子や孫にだけ多く相続させるということが難しくなりますし、例えば自宅は長男に、預貯金は次男に、というような自分の考えが反映されるとは限りません。また、相続人間で分割の方法(誰かどれだけ相続するか、誰がどの遺産を相続するか、等)について揉めることも多いのが実情で、そうすると、交渉や調停を行なう相続人にも負担になってしまいます。その点、遺言を残せば、原則として自分の思いに従って相続内容を決めることができるし(遺留分の問題はありますが、遺留分は請求されなければ効力を生じません)、具体的にどの遺産をどの相続人が相続するか定めておけば、分割を巡る紛争が生じることを防ぐことができます。

 また、遺言がないと分割内容については揉めていなくても、預貯金の名義変更や不動産の登記などには相続人全員の同意を得て遺産分割協議書を作成し実印で押印いただく、という作業が必要になり、相続人の数が多いと意外と手間がかかります。また、相続人のうち1名が認知症で法律上合意する能力がない場合にはそのままでは遺産分割が進められない(成年後見人を付けてもらう必要がある)、等、大変時間がかかってしまう場合もあります。その点、遺言書を作成し、遺言執行者を定めておけば、遺言執行者が名義変更手続きを行うことができます。通常、遺言執行者は、遺言書作成を依頼した事務所の弁護士(あるいは弁護士法人)が行うことが多いです。それについても遺言において定めることができます。

3、遺言書作成において注意すべきこと

 遺言書作成において注意すべきことは多くあります。まず、自筆証書遺言の場合は法律で定める方式に従うこと。また、自筆証書であれば、公正証書であれ、遺言能力があるうちに行なわないといけません。すなわち、認知症などで遺言をする能力がなくなってからの遺言は、無効になってしまうということです。

 また、個々の遺産をだれに相続させるかを定める遺言の場合は、遺言をした後の資産の変動にも注意しないといけません。例えば、長男Aには三菱UFJ銀行の預貯金すべてを相続させ、次男Bには三井住友銀行の預貯金すべてを相続させる、という内容の遺言を作成したとして、作成時点では各銀行に1000万円ずつ預貯金があってバランスがとれていたとしても、その後の生活費等で三菱UFJ銀行の預貯金をほとんど使い果たしてしまい、三井住友銀行には1000万円がそのまま残っていた、となれば、本来意図したのとは違う結果になってしまいます。また、具体的に不動産を特定して相続する相続人を指定した場合にその不動産を売却してしまった場合も同様に資産の変動の結果として、遺言内容と相続時点での実際の遺産の齟齬が生じてしまいます。このように資産の変動があった場合には、状況に応じて、遺言書を改めることが望ましいですが、遺言書を新しく書き直せば、新しい方が効力を持ちます。

 さらに、遺留分にも注意が必要です。遺留分を侵害した遺言も有効ですが、期間内に遺留分侵害額請求をされると、その相続人は請求者に対して金銭で侵害額分を支払う必要があります。もっとも、時効期間が短いこともあり、請求されないままになることもありますが、そういうリスクがあることは考えておいた方が良いでしょう。

 また、技術的な話ではありますが、遺産の表記は正確に行わないと、特に不動産の登記ができない恐れもあります。

4、弁護士に相談いただくメリット

 遺言作成に際して弁護士にご相談いただくメリットしては、まず、内容面について相談することができることが挙げられます。また、公正証書遺言作成の際の公証役場との打ち合わせも弁護士が行うことができます。

 さらに、弁護士(当事務所の場合は弁護士法人)が遺言執行者となることができるため、相続発生後の名義変更に関する心配をしなくてよくなります。

 

5、まずはご相談を

 当事務所では、相続、遺言に関する相談は1時間まで無料です。まずは、お電話か電子メールでお問い合わせの上、立川か所沢の事務所にご来訪をお願いします。(なお、ご高齢でご来訪が難しい場合には、出張相談ができる場合もありますので、まずはお問い合わせください)

【コラム】具体的相続分の決め方

2020-08-18

今日は、相続に関する基本的なお話をさせて頂きます。

遺産を残した方を被相続人、相続する側を相続人と言いますが、被相続人が亡くなった時にどのように遺産を分ければ良いかわからずに悩んでおられる方も多いと思います。そこで、今日は、基本的なところを解説させて頂きます。

 

1、法定相続分

 法定相続分というのは民法で決まっている相続分です。まず、配偶者がいる場合は、配偶者は必ず相続人になります。ただ、その相続分は相続人のパターンにより異なります。

配偶者しかいない場合・・配偶者が100%

配偶者と直系卑属(子供など)の場合・・配偶者が2分の1、直系卑属が2分の1

配偶者と直系尊属(親など)の場合・・配偶者が3分の2、直系尊属が3分の1

配偶者と兄弟姉妹の場合・・4分の3、兄弟姉妹が4分の1

となります。

直系卑属(子など)がいる場合には直系尊属(親など)や兄弟姉妹は相続人になりません。また、直系卑属(子など)がいなくても直系尊属(親など)がいる場合、兄弟姉妹は相続人になりません。

養子は実子と同じに扱われます。なお、特別養子縁組の場合を除き、養子に出た場合であっても、実子としての相続権は失いません。

・子が相続人になる場合には、子の数に応じて均等に割ります。例えば、配偶者がいて子が2名の場合、子の相続分は2分の1ですから、これを均等に割り、子一人当たり4分の1の相続分となります。

代襲相続(例えば、孫が相続人になる場合)には、代襲前の相続人が持っていた相続分を均等に割ります。例えば、相続分が4分の1だった子が先に亡くなりその子(被相続人の孫)2名が代襲相続する場合には、代襲相続する孫は8分の1ずつの相続分です。

兄弟姉妹が相続人になる場合、基本的には兄弟姉妹の数で均等に割るのですが、片方の親だけが共通の兄弟姉妹の相続分は半分で計算します。

 

2、特別受益

 特別受益がある場合は、それに基づいて修正をします。簡単に説明すると、生前に贈与してもらった相続人がいた場合には、その分は先にもらったとして計算する仕組みです。例えば、遺産が5000万円で、相続人が子2名だけの場合、通常であれば、それぞれが2500万円ずつの相続分を持ちます。しかし、子Aが先に1000万円を贈与されていた場合、その1000万円は、遺産に含まれるとして、6000万円の遺産があるとし、Aの相続分は3000万、ただし1000万は先にもらっているので、結局、2000万、Bは3000万、という計算をします。

 ただ、贈与されていたらすべてが特別受益というわけではなく、「婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として」贈与を受けた場合という限定がありますが、現金による贈与の他に、学費などもこれに当たるとされる場合もあります。

 なお、「持ち戻し免除」がされていた場合には、適用がありません。これは、生前に、被相続人が、この分は亡くなった後に遺産を分割する際に戻して計算しなくてよいよ、という意思表示をしていたことをいい、黙示の意思表示でも認められることがあります。

 

3、寄与分

 さらに、一部の相続人が、特別の寄与により被相続人の財産の増加または維持に貢献していた場合には、寄与分として、その相続人の相続分を増やす仕組みがあります。例えば、先ほどの例でいうと、遺産として5000万円が残されていても、相続人Aさんが1000万円分の寄与をした結果その遺産が残されているのであれば、まず、Aさんは1000万円分の相続ができ、残りの4000万円を分けることになるため、結果、Aさんは3000万円、Bさんは2000万円、を受け取ることになります。

 なお、寄与分が認められるためには特別の寄与が必要です。例えば、療養監護事業における貢献が主張されることが多いですが、療養監護についていうと、親族として行うべき一般的な家事への協力では扶養義務の範囲内とされる可能性が高いため難しく、重度の要介護の場合に介護を行ったなど、特別な寄与と言えることが必要です。なお、この問題に関しては、計算方法を含め、多くの判例があります。

 

4、まとめ

 このように、具体的相続分は、法定相続分そのままとは限らず、寄与分特別受益がある場合にはそれも考慮して決めることとなります。寄与分や特別受益は、認定や計算方法について、判例が積み重ねられてきており、意外と複雑です。寄与分や特別受益を主張するためには、どういう場合に認められうるかをよく理解しておくことが望ましいです。また、他の相続人から寄与分や特別受益を主張されて戸惑っている方もおられると思います。

 その点、弁護士に交渉や調停をご依頼頂ければ、弁護士が代理人として主張することができます。その場合、判例の解釈などの法律問題は弁護士が検討し、主張するので、ご本人様は詳しくなくても問題ありません。もちろん、交渉のための他の相続人との連絡も弁護士が行ないます。また、調停や審判における書面の提出も弁護士が代理人として行ないますので、ご安心ください。

 なお、上記はあくまで法律に基づく決め方ですが、相続人間で合意ができれば、上記のような相続分の計算に基づかない方法での分割も可能です。

 当事務所では、交渉の段階からの依頼も受けています。遺産分割のことで困っておられる方は、まずはご相談ください。なお、初回1時間までは相談料無料です。

【お知らせ】出張相談について

2020-07-02

出張相談のご案内

多摩中央法律事務所では、遺産相続に関する出張相談を受け付けています。

基本は立川か所沢の事務所へのご来訪をお願いしていますが、高齢や体調の問題などでご来訪が難しい場合、ご相談の内容によっては弁護士が出張して相談を受けることも可能です。新型コロナウイルスによる感染症が心配だという場合も、出張相談が可能です。

出張が可能な範囲としては、概ね、立川か所沢から電車など公共交通機関で1時間以内くらいの距離を想定しています。

費用のご案内

 相談料は1時間まで無料ですが、交通費をご負担いただく場合があります。

相談可能な分野(例)

・遺産分割について他の相続人と揉めている(あるいは、直接話したくない)

・遺産分割について話し合いをしたいが自分で動く体力や時間がない

・遺言を書きたい

・不利な遺言で遺留分を侵害された

・他の相続人が遺産を使い込んでいる

など相続に関する悩みがある方は、ぜひご相談ください。もちろん、ご来訪での相談も歓迎です。

相談の手順

 ます、立川の本店か所沢支店にお電話ください。その上で、出張相談希望であることをお伝えください。日程を調整させて頂きます(出張相談が可能な場合)。

 日程が決まれば、弁護士がご相談に伺います。なお、相談当日は、相談内容について簡単にお書きいただき、それに基づいて弁護士が相談にご対応させて頂きます。相談料は1時間まで無料です。

 交渉や調停などをご依頼の場合は、委任契約書と委任状に署名、押印頂きます。それらの書面が後日事務所から郵送させて頂きますので、署名、押印後ご返送ください。ご依頼後の打ち合わせは、電話でも可能です。

【コラム】特別受益の基準時

2020-05-28

特別受益があった場合の相続分の計算方法

特別受益があった場合、その分を持ち戻して計算するのが原則です。すなわち、相続人の誰かがもらっている分があったとしても、その分はいったん戻して計算し(遺産に含めて計算)、当該相続人はその分の遺産を先にもらっていると考えて当該相続人の法定相続分から差し引いて計算するわけです。(被相続人により「持ち戻し免除」の意思表示があった場合は持ち戻しは不要となります。なお、改正法903条4項の推定規定に注意)

評価の基準時

 特別受益が生じた時点から持ち戻しを行う前の間に価格の変動が生じていた場合、どの時点の金額で評価するかという問題が生じますが、一般に相続開始時点と解されています。不動産、株式、など価値の変動が大きいものについては、どのように評価するかによって結果がかなり変わってきますので、この点は重要です。
なお、判例では、金銭についても物価の変動を考慮することとされています。すなわち、例えば、物価の安かった時代に生計の資本としての贈与を受けていた場合、その時点の金額をそのまま用いるのではなく、相続開始時点の物価にあわせて計算をし直すということです。

調停の場合にどこまで厳密に行うかという問題はありますが、原則は上記のように相続開始時点の価値で判断することとされています。

遺産分割の基準時との違い

特別受益の計算においては、上記のように相続開始時を基準とする点が、遺産分割については遺産分割時を基準にするのと対照的です。

このため、審判に進める場合は、特別受益の主張があれば、土地等について、相続開始時と遺産分割時の2時点についての鑑定が行われるのが一般的です。すなわち、特別受益の計算と、遺産分割に用いる計算では、基準時が異なるため、それぞれの基準時についての鑑定が必要になるわけです。

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