Archive for the ‘遺産分割’ Category

【コラム】遺産の評価の基準時(遺産分割)

2020-05-26

遺産の評価の時点

遺産分割の際に資産はいつの時点を基準に評価するべきでしょうか?
つまり、土地や建物などの不動産は価格が変動します。土地は経済情勢などで値段が上下しますし、建物は基本的に経年とともに価格が下がっていきます。また、株式などの有価証券も同様に価格の変動があります。それゆえ、相続発生から遺産分割までに時間が経っているとその間に不動産や株式などの価値が大きく変わっていることもあります。そのような場合、どの時点を基準に評価するかで、かなり結論に影響が出る可能性があります。

これについては、原則は、遺産分割時点の価値で評価することになっています。
これは、公平を保つためにそのように解されています。考えてみれば、実際に遺産を承継した人が処分できるのは分割後なのですから、長い期間が経っているのに相続発生時の価値で評価されると公正が保てないですよね。それゆえ、実務では遺産分割時点の価値で評価するのを原則としています。

 

評価の方法

 では、遺産分割時を基準として、具体的にどのように価値を判断するのでしょうか? 不動産については、交渉や調停で合意に至る場合は、路線価や、市場価格、などいくつかの評価方法がありますが、評価方法について合意を形成できなければ、家庭裁判所で鑑定を行い、それに基づいて判断がされることになります。未公開株式など、他の争いになる資産についても同様です。鑑定には費用が掛かり、その負担は基本的には鑑定を申し立てた人がすることになっていますが、相続人の合意の上で遺産から出すこともあります。

 いずれのせよ、鑑定には費用が掛かるので、遺産分割の方法に合意ができなくても遺産の評価方法については合意して、それを前提に調停や審判を進めてもらうという場合もあります。

弁護士にご相談を

 遺産の評価は簡単なようで実は難しい問題です。遺産分割が意外な結果になって慌てないように、弁護士にご相談いただければ、と思います。弁護士にご相談いただければ、遺産の評価の問題はもちろん、遺産分割に関する問題全般についてご回答させて頂きます。また、代理人として交渉したり、調停や審判の期日に出席することも可能です。

 当事務所では、相続に関するご相談は1時間まで無料です。お電話または電子メールでご予約の上、立川または所沢の当事務所までご来訪頂ければ、と思います。

【コラム】遺産分割の調停

2020-05-11

交渉がうまくいかない場合は

遺産分割について、話し合いでまとまらない場合、調停を申し立てるのが一般的です。

いきなり審判を申し立てることもできなくもないですが、審判を申し立てても調停に付される可能性が高いので、ほとんどの場合は、まず調停を申し立てます。

遺産分割調停とは

 そもそも、遺産分割調停とは何でしょうか? これは家事事件手続法に定められた調停手続きであり、同法の後ろの別表第2に掲げられていることから、分類としては別表第2調停と呼ばれます。別表第2調停は、審判の対象になりうる争いではあるものの、当事者間の話し合いによる解決が望ましいとの観点で、原則としてまず調停を行なうことになっています。

 遺産分割調停においては、裁判官1名と調停委員2名からなる調停委員会が組織されますが、実際の調停期日は基本的に調停委員2名が担当しており、裁判官は一番最初の説明の時と最後の成立の時以外は、出席することは希です。ただ、調停委員は当事者がいないところで進行について裁判官と打ち合わせを繰り返しています。調停委員は法律の専門家とは限らず、社会の各分野で活躍している人が選ばれています。

期日の進行

 指定された日時に裁判所に行くと、最初の日には裁判官と調停委員、両当事者、全員がそろって、裁判官から手続きについての説明があります。(ただ、この過程は省略されることもあります)

 その後は、調停委員2名と当事者1名、で同じ調停室に入り、まず、当事者は、調停委員に自分の考え方を伝えます。そうして、一通り話が終わると、当事者は待合室に移動します。次に、同じ調停室に別の当事者が呼ばれて、話をします。この際には、最初に話を聞いた当事者の意向も伝えられ、それに対してどう考えるか、というようなことを聞かれる場合もあります。あるいは、まず各当事者の意向を聞いてからそういう段階へ進めようとする場合もあります。当事者が3名以上いる場合は、以上のような手順を繰り返して調停委員は各当事者の意向を把握します。もっとも、3名以上当事者がいても、そのうち2名かそれ以上の当事者が同じ意見だと、同じ意見の当事者からはまとめて考えを聞くというような場合もあります。このような作業の繰り返しで、調停は進んでいきます。

 このように、当事者どうしが顔を合わせずに調停委員を通して話し合いを進めていくのが調停の特徴です。

調停の全体の流れ 

上記のような形での話し合いを期日のたびに行います。また、期日間で主張書面(準備書面)を提出する場合もあります。

期日を重ねていくうちに方向性が見えてくる場合は、調停を続けていき、成立を目指します。一方、最初から意見が完全に対立して一致に至ることが難しそうな場合には、2回か3回で打ち切られて審判に移行する場合もあります。

 

調停の終了

 全当事者が合意に至れば、調停が成立します。その内容は調書に記され、権利や義務の内容は強制力を持ちます。これを基に、登記の変更や口座名義の変更などを行います。

 一方、調停が成立しない場合は、審判に移行します。

 

調停の際に弁護士に依頼するメリット

 調停において弁護士に依頼するメリットはどういうところでしょうか? まず、遺産分割について専門的見地からのアドバイスを受けられるということが挙げられます。調停においては、自分の主張について調停委員に聞かれますが、同時に、その法的な根拠についても問われることがあります。例えば、親の面倒を見ていたから多めに遺産が欲しい、と主張するのであれば、それが民法で定められた寄与分に当たるということ、その額はこれくらいの金額として評価されるべきであること、を根拠を持って主張しないといけません。この際、専門的知識を持った弁護士が事実関係や判例を調査したうえで行う方が適切で説得的な主張をできると思います。

 寄与分に限らず、他の相続人の特別受益を主張する場合や、遺産である土地の評価についての主張を行う場合、など様々な場面で専門的な知識が必要になります。あらかじめ弁護士と打ち合わせることができるのはもちろん、弁護士が準備書面という形で主張を提出することも可能です。

 さらに、調停の際に同席して、ご依頼者様のために主張をすることができます。当事者だけだと調停委員が一定の方向にまとめようとしているときに、自分の内心がそれと違っても強く主張できない、という方もおられます。その点、弁護士はご依頼者様の利益のために、適宜、調停において、発言をします。それによって、調停が不利な方向に進むのを防いで、ご依頼者様の意向に沿った解決ができるように努めます。

 このように、遺産分割調停においては、相続事件に詳しい弁護士を代理人として依頼することには大きなメリットがあります。当事務所も、これまで、遺産分割調停案件を積極的に受けてきました。遺産分割について、悩んでおられる方は、まずはご相談ください。立川または所沢の視点でご相談が可能です。なお、相談料は、初回1時間は無料となっております。

【コラム】相続人の中に行方不明の人がいる場合

2020-04-04

相続人の中に行方不明の人がいる場合、遺産分割はどのようにすればよいでしょうか?
話し合いで決めようとすると、全員の一致が必要なので、一人行方不明の人がいると、解決できないようにも思えます。

しかし、法律上、方法がないわけではありません。

このような場合、2つの方法が考えられます。

一つは失踪宣告です。
これは7年以上行方不明の場合(戦争、船舶の沈没、など危難の場合には1年以上)に、利害関係人の申し立てにより、法律上死亡したとみなす制度で、家庭裁判所に申し立てます。
 これが認めれた場合、死亡したとみなされるわけですから、この方については、新たに相続が起きることになります。

一方、不在者財産管理人という制度があります。
これは、民法上は「従来の住所又は居所を去った者(以下「不在者」という。)がその財産の管理人(以下この節において単に「管理人」という。)を置かなかったとき」および「本人の不在中に管理人の権限が消滅したとき」に選任されることになっています。(25条)

簡単に言えば、不在になり、連絡が取れないような場合に、財産を管理する人を選任するという仕組みであり、利害関係人または検察官が選任の申し立てを行なえます。それゆえ、共同相続人は申し立てることができることになります。

この仕組みは、失踪宣告と異なり、不在者の死亡したとみなすわけではなく、代わりに財産の管理をする人を選ぶ仕組みですので、要件を満たしていれば、比較的短い期間で決定されるのが一般的です。
不在者財産管理人は、裁判所の許可を得て(民法28条)、遺産分割協議に参加することができます。

但し、不在者財産管理人は、不在である本人のために財産を管理するわけですから(善管注意義務)、原則として、本人に不利な遺産分割に同意することはできません。それゆえ、不在者財産管理人制度を用いても、その関係では、柔軟な分割が難しいという問題は残ります。
ただ、話し合いができないという状態を脱することができるというメリットはあります。
上記の手続きは実際に行なおうとすると、それなりに複雑なので、専門家である弁護士に相談して頂ければ、と思います。

【コラム】審判が出たら

2020-04-02

遺産分割の調停が審判に移行し(あるいは最初から審判を申し立ててそのまま審判が進み)、審判が出された場合、どうなるのでしょうか?

まず、後述するように即時抗告という手続きがあり、これを期限内に行えば、まだ確定はしません。
一方、期限内に相続人のだれも即時抗告を行わなかった場合は、確定します。
確定した審判は債務名義になります。債務名義というのは、強制執行に必要なもので、これにより、例えば、不動産の登記などを強制的に行なえることになります。
つまり、審判に対して即時抗告が行なわれずに確定した場合は、当事者が納得していなくても、強制力をもって執行ができるようになるということです。
*ただ、執行は自動的に行われるわけではなく、別途、手続きが必要です。

一方、相続人のうちの誰かが即時抗告をすれば、審判は確定せず、高等裁判所で審理されることになります。
ただし、即時抗告は告知を受けた日から2週間以内にしないといけません。
また、即時抗告は、抗告状を原裁判所(つまり、審判をした家庭裁判所)に提出することで行ないます。高等裁判所に出すわけではないので、注意が必要です。

即時抗告が適法に行われると、高等裁判所で審理がされて、決定が下されることになります。
ただ、家庭裁判所に差し戻される場合もあります。

高等裁判所が決定をした場合には、最高裁判所に、特別抗告や許可抗告をすることができる場合があります。
ただ、特別抗告や許可抗告は理由が限定されているので、実際にはできない場合もあります。
すなわち、特別抗告は憲法違反があることを理由とする場合に限定されていますし(家事事件手続法94条第1項)、許可抗告は最高裁、大審院の判例に反する場合等法令の解釈に関する重要な事項を含む場合に限り高等裁判所の許可を得て抗告する手続きです(家事事件手続法97条)ので、どのような場合でもできるわけではありません。
 また、特別抗告、許可抗告は告知を受けてから5日以内にしないといけません。 特別抗告、許可抗告は、執行停止の効力を有しないことにも注意が必要です(ただ、申立てにより、執行停止がされることはあります)。

実際には、特別抗告、許可抗告により最高裁判所まで進む案件は全体から見れば少数だと考えられます。

このように、審判では、どこかの段階で、確定して、強制力を持った処分が可能になります。
(上記のとおり、特別抗告、許可抗告が行なわれていて確定していない段階でも強制力を持った処分ができる場合もあります)

審判は、このように、当事者が納得しなくても問題を解決できるという点で、効果的ですが、逆に言えば、自分が納得していなくても従わざるを得ないことに なるわけで、審判や、それにつながる調停を申し立てる場合には、法律に当てはめるとどういう結論になりそうなのか、よく検討してから行なう方が良いと思います。

【コラム】調停でもまとまらない場合

2020-03-31

遺産分割についての調停がまとまらない場合は、自動的に審判に移行します。
家事事件審判法に、別表第二事件として、調停が(合意に至らずに)終了した場合は、審判の申立てがあったものとみなす旨、規定されているからです。

この場合、調停が行われてきた家庭裁判所で審判も行われるという扱いが一般的です。

審判は、調停とは異なり、裁判所が遺産分割について決定するための手続きです。
もっとも、審判の中でも話し合いが行われることもありますが、まとまらなければ、裁判所が法律に基づいて決定します。
 審判では、事実関係に法律を適用して分割がなされるのであり(そういう意味では、民事裁判と類似しています)、それゆえ、各当事者は、主張、立証をしっかりとする必要があります。

なお、寄与分を主張したい場合は、必ず、寄与分を定める審判の申立てをしないといけません。これをしないと寄与分を考慮してもらえません。

審判の決定は(即時抗告で変更されない限り)法的な強制力があります。
当事者は、仮に不満があっても、確定した場合は、従わざるを得ません。
なぜなら、審判に基づいて強制執行が可能だからです。

このように、審判により解決は、必ずしも当事者の移行に沿うとは限らず、かつ、最終的なものなので、審判や、それにつながる調停を申し立てる際には、予想される結果を充分検討してから行なうほうが良いと思います。

【コラム】話し合いでまとまらなければ

2020-03-29

相続について、当事者だけでの話し合いでまとまらない場合は、どういう方法があるでしょうか?

この場合、基本的な方法としては、家庭裁判所に遺産分割の調停を申し立てる、ということが考えられます。
もっとも、最初から審判を申し立てることも可能ですが、調停に付される可能性が高いと思います。

さて、では、調停では、何をするのでしょうか?
実は、調停も話し合いです。
ただ、裁判官と調停委員からなる調停委員会が双方の意見を聞いて話し合いを進めるので、一般的に考えれば、当事者だけで話し合うよりまとまる可能性は高くなると思われます。
(実際、当事者だけの話し合いで解決しなかったものが調停で解決することはよくあります。

実際の流れとしては、各回の話し合いは、当事者と調停委員で進められ、裁判官は最後にまとめるとき、など要所でだけ、直接出席するのが一般的です。
(ただ、調停委員は、当事者のいないところで、必要に応じて裁判官と協議しています)

また、調停では、基本的には、各当事者と調停委員、で話し、相手方と同席して話す方式で行われることはまれです。
つまり、申立人と相手方は交互に調停室に入り、顔を合わせないで行なう方式が一般的です。
例えば、申立人が調停委員に話し、調停委員がそれを相手方に伝え、今度は相手方が調停委員に話し、それを調停委員が申立人に伝えて・・ というようなことの繰り返しで話を進めていきます。
もちろん、弁護士にご依頼の場合は、弁護士も出席します。
最後にまとめるときは、全員同席が原則です。

なお、相続人が数人いて、それぞれ立場が違う時は、それぞれの相続人と調停委員、で順番に話をしていくような形になりますが、相続人が数人いても、対立していないグループがある場合は、そのグループについては、一緒に調停室に入るような扱いがされるのが一般的です。

調停委員は中立的な立場で話すことになっていますが、逆に言うと、ご自身に有利な事情は自分で主張する必要があります。
例えば、自分は被相続人の介護に関して貢献した、相手方は先に多額の援助を得ていた、などの事情は調停委員から積極的に聞いてくれることは期待できません。ご自身で主張する必要があります(弁護士が付いている場合は、調停前に弁護士と打ち合わせて伝えておけば、弁護士から話すことが可能です)。

もう一つ、調停に臨むうえで念頭に置いておいた方が良いポイントとしては、調停は法的な白黒をつける場ではない、ということでしょう。つまり、必ずしも法的な根拠がなくても全員で合意できれば、原則として自由に分割割合を決めることができますし、逆に、法的に有利な要素があっても、合意できなければ、成立はしません。
 ただし、希望通りにまとまらない場合は「もし審判になったらどうなるか?」ということも検討したうえで、対応を決める、ということも必要であり、従って、法的な知識をもって臨むことも重要だと思います。
(そもそも、法的にどのような解決が妥当かを念頭に主張を決めたいという方も多いと思います)

ところで、調停の管轄は、原則として、相手方の住所所在地の家庭裁判所です。
そういう意味では、わざわざ遠方まで行かないといけない場合もあるわけですが、ただ、最近の法改正で、遠方の場合は、調停期日の際に電話を用いることができるようになりました。電話で期日を行う場合、弁護士に依頼していれば、弁護士の事務所を用いることになります。(ただし、実際に電話で行うかは裁判所の判断です)

調停は、このように、裁判所で行われるものの、結局のところ、話し合いです。
それゆえ、まとまらない場合もあります。

では、調停を行ってもまとまらなければとうなるのでしょうか?
この点については、次回、解説します。

【コラム】全員一致が必要なので難しい

2020-03-24

もし、遺言がないまま亡くなった場合、相続人が複数いれば、話し合いで遺産を分けることになります。

もっとも、貸付金や過払い金返還請求権のように性質上分けて行使できる債権は可分債権と言って法定相続分で当然に分割されると解されますが(その場合も協議の対象にすることは可能と解されています)、不動産などは相続人間で協議して分割する必要があります。銀行預貯金は一部種類のものを除いて可分債権として原則として法定相続分で当然分割されるとする判例がありましたが、平成28年12月29日の最高裁判例で、変更されたので、やはり、分割協議が必要とされました。

(不動産等は分割しなければ、共有のままになり、その後の利用や売却の際に不便になりがちです)

協議により分割する場合、相続人全員の同意が必要です。

それゆえ、誰か一人でも反対すると決まらない、ということになり、延々と話し合いが繰り返される場合もあります。
しかも、亡くなってから時間が経つと、相続人も亡くなり、相続人の相続人が新たに相続して、話し合いに入ってくる、という形で、相続人の数が増えていくのが一般的です。

もちろん、相続人の数が増えるに従い、一人あたりの相続分は小さくなっていくわけですが、仮に、法定相続分が1/50の相続人がいたとしても、「たった2%だから反対されても他の全員の同意で可決する」というようなことはできないのです。

そうすると、時間が経つほど解決が難しくなるのは、相続に難くありません。

では、話し合いで解決が難しい、となった場合に、どういう方法があるか、は次回お話しします。

【コラム】遺産分割に関連する実費

2020-03-12

遺産分割を弁護士に依頼した場合、弁護士報酬が必要ですが、それ以外にも実費が発生します。では、実費とはどういうものが考えられるでしょうか?

 まず、最初に必要になるのが、戸籍謄本等を取得するための費用です。具体的には戸籍等の取得のために市町村役場等に支払う手数料、及び、郵送で取得する際の郵便代金です。相続人の範囲を確定するためには、被相続人の生れてから死亡までの戸籍を調査する必要があり、そのために除籍謄本・戸籍謄本・改正原戸籍などを取得する必要があります。これは、被相続人に、知られていない子がいる場合もあるので、必ず必要です。もし、一部の相続人を含めないまま合意しても無効になってしまうからであり、また、調停申立てや不動産登記においても求められます。

 次に、相手方に対して内容証明郵便を送る際には、その費用も依頼者負担とするのが一般的です。内容証明郵便は特殊な郵便なので、長さにもよりますが、1通1500円ほどします。なお、郵便についても、すべての郵便費用を実費として依頼者に請求する事務所もあれば、内容証明など特殊なものだけ依頼者負担としている事務所もあるでしょう(当事務所の場合は原則として内容証明郵便はご依頼者様負担、通常の郵便は事務所負担としています)。

また、調停や審判を起こす場合には、裁判所に支払う費用も必要です。ただ、これは数千円程度で、それほど高いものではありません。

 さらに、弁護士の交通費(裁判所等に行く費用)も通常は依頼者が負担することになります。調停や審判で遠方の場合には高額になる可能性もありますが、最近は遠方の場合は調停や審判の期日を電話で行うことも多いので、交通費はほとんどかからない場合も多いです。なお、遠方で実際に出席する場合には前泊が必要になり宿泊費も求められる場合もありますので、どこまで依頼者負担とするかについてはご依頼する法律事務所とあらかじめよく協議しておくと良いでしょう。

 さらに、不動産がある場合は、遺産分割についての合意後に登記をしますが、その場合に法務局に支払う費用が掛かります。法務局の費用は、登記をする不動産の価値によっても異なるので、一概には言えません。また、登記に関する費用としては、司法書士に依頼すると、司法書士への報酬も必要になります。これは実費とは異なり、司法書士への報酬なので、当然、ご自身で行えば必要ありません。なお、弁護士が登記も代理で行うケースもあると思いますが、一般にはその部分については遺産分割の交渉や調停の代理とは別に弁護士報酬がかかる場合が多いと思います。ただ、これについてはその法律事務所(弁護士)との契約次第です。当事務所の場合は、登記は知り合いの司法書士を紹介させて頂いております。

 以上のように、実費と言っても、様々なものがありますが、具体的にどのような負担が生じうるかよくわからない場合は、依頼する前に弁護士に確認すると良いでしょう。

【ご案内】遺産分割に関する事件の弁護士報酬

2020-03-10

当事務所では、遺産分割事件に関する弁護士報酬を、原則として以下のように定めています。

・着手金30万円と消費税

・成功報酬

経済的利益の額    
1000万円未満の場合  獲得額の7%と消費税
1000万円以上5000万未満の場合 70万円と消費税
5000万円以上の場合 70万円および相続額のうち5000万を超える分の1%と消費税

としています。

まず、着手金は原則として上記の額で固定しています(遺産額が少ない場合に例外的に割引できるケースもあります)。また、成功報酬については、相続した額が1000万円までの場合は、相続した額に対する割合で決まりますが、そこから5000万円までの場合は70万円のまま増えないようにしています。

*ここで、相続した額というのは、委任契約書では「経済的利益」と書いてあり、預貯金や現金に限らず、不動産なども含みます。

 かなりの資産家の場合を除けば、一人当たりの相続額は5000万円を超えることは少ないと思うので、多くの場合、成功報酬は70万円と消費税(遺産額が1000万円未満の場合は、それ未満)で終わることになります。したがって、例えば、ご自身が相続した遺産(全体ではなく、交渉や調停などの結果ご自身が相続すると決まった分)が、「住宅一軒(価値が3000万円)+預貯金500万円」の場合には、弁護士報酬は、着手金30万円+成功報酬70万円、の合計100万円で、そこに消費税がプラスされる形になります。なお、審判に移行した場合は別途着手金が20万円と税、発生し、また、期日が10回を超えた場合には別途日当が発生しますので、その場合には上記より余分にかかることになります。

 以上のような報酬体系にしたのは、まず、着手金を遺産に対する割合で定めると、遺産額が最初の時点では明確ではないことも多く後で調整が必要になる恐れがあること、があります。また、成功報酬に関しては、遺産額に比例にするとどれくらいかかるかわからないという不安を感じておられる方も多いと考えて、ご依頼者様1名の相続した額が1000万円~5000万円の範囲の場合は変化しないようにしました。

 また、遺産額がそれほど多くない場合も気楽にご依頼頂けるよう、相続した遺産の額が1000万円未満のところでは相続した額の7%という形で定めました。それゆえ、例えば、相続した額が500万円の場合は、成功報酬は35万円と税、となります。

 このように、遺産分割の交渉や調停のご依頼に関しては、「弁護士費用が高くなりすぎないこと」「事前に報酬の予測を付けやすいこと」を念頭に報酬体系を設定していますので、まずはご気楽にご相談ください。

【コラム】遺産分割の流れ

2020-02-24

遺産分割は、通常、まず交渉から始まります。

この際、遺産の範囲と相続人の範囲を明らかにして、すべての遺産について、すべての相続人と協議することが重要です。相続人の一部が抜けていると合意に至っても無効になってしまうし、遺産についても抜けているものがあると無効になる場合があります。

 合意に至れば、遺産分割協議書を作成し、不動産の登記、預貯金や証券などの名義変更、などの手続きを行って遺産分割は終了します。

しかし、合意に至ることができない場合に解決しようとすれば、家庭裁判所に調停を申し立てることになります。(ただ、交渉がうまくいかなくてもすぐに調停を申し立てる義務はありません。しかし、自分が申し立てなくても他の相続人が申立てを行なったら調停は始まってしまいます)

調停では合意に至れば、調停調書が作成され、これによって不動産の登記変更、預貯金や証券などの名義変更、などの手続きを行うことができます。

一方、合意に至らなければ、審判に移行します。審判を申し立てなくても、調停の不成立で自動的に審判に移行します。

審判では、当事者は主張や資料の提出ができますが、最終的に裁判所が分割方法を決定します。確定すれば強制力を持ちます。なお、審判で寄与分を認めてもらうためにはまず寄与分を定める審判の申し立てが必要です。寄与分を定める審判の申し立てには期間制限がなされることがあるので注意が必要です。

一方、送達を受けてから2週間以内に即時抗告を行なえば高等裁判所に移行します。高等裁判所では審判内容について審理がなされ、判断がなされます。

それに対しても最高裁への特別抗告や許可抗告という手続きがありますが期間制限が告知を受けてから5日間と短いのと、認められる可能性が一般的には低いことに注意が必要です。

なお、個別の案件について即時抗告、特別抗告、許可抗告の期限については裁判所に直接確認することをお勧めします。(勘違いしていると大変ですので)

このように、遺産分割については最高裁まで争われる場合もあるのですが、大半のケースでは、交渉か調停で解決しています。審判まで進むケースは比較的少数です。

いずれの段階でも、弁護士が代理人として対応することができますので、まずはご相談ください。

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