遺産使い込み

Q 特定の相続人による使い込みについても遺産分割の調停・審判で話し合えばいいのですか?

A 遺産分割調停の時に主張すること自体は問題ありません。ただ、基本的に、不当利得返還請求として返還請求をすべきものであり、遺産分割とは別の手続きとなります。それゆえ、遺産分割の審判では取り扱えません。

Q 使い込みの返還を求める裁判はどこの裁判所ですればいいのですか?

A 法的手続きで回収する場合は、不当利得返還請求訴訟を地方裁判所か簡易裁判所に起こすことになります。地裁と簡裁の違いは、扱う金額です。訴訟物の価額が140万円以上だと地裁、それ未満だと簡裁の管轄となるのが原則です。

 なお、土地管轄は、相手方の住所を管轄する裁判所、自分の住所地を管轄する裁判所、両方にあると解されます。なぜなら、訴訟の土地管轄は、一般に、被告の住所地を管轄する裁判所にあるのですが、同時に、不当利得返還請求権は持参債務だと解され、そうすると、債務の履行地である原告の住所にも管轄があることになるからです。

Q まだ父は生きているのですが、長男が無断で父のお金を使い込んでいるようです。何か取り戻す方法はありませんか?

A この場合、被害者は御父様です。そこで、御父様から長男に対して返還を請求することができます。もちろん、応じてもらえない場合は訴訟をすることもできます。なお、御父様が認知症で判断力がない場合、成年後見申立を行ない、後見人が返還請求をするという方法が考えられます。

Q 使い込みを取り戻すのは何年以内にすればよいのですか?

A 不当利得返還請求権の時効は、法改正前は10年でした。しかし、改正法では、権利を行使できることを知った時から5年 、権利を行使できる時から10年間で時効になるとされています。なお、法改正前に発生した債権については改正前の10年が適用されます。
なお、時効の更新(旧法でいう中断)は訴訟提起など特定の行為をしないと認められないので、ご注意ください。

Q 特定の相続人が父の生前に父をそそのかして多額の贈与を受けていました。これって、返すように請求できますか?

A 被相続人の承諾を得てお金をもらっていた場合は、特別受益の問題となります。遺産分割手続きの中で特別受益の主張をしていくことが妥当だと解されます。なお、特別受益に関しては持ち戻し免除の意思表示に注意が必要です。

Q 使い込みはどうやって立証するのですか?

A その当時、被相続人が自分で預貯金を管理できない状態であったことを示す資料(カルテなど)、多額の資金が不自然に引き出されたことを示す通帳の写しや取引履歴、使い込みをしたとされている人による浪費など不自然な資金の使い方を示す通帳など、が重要です。また、その人が被相続人の近くにいて、使い込みをできる立場であったことも示す必要があります。

 

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