遺産分割

遺産分割の交渉や調停などについて

遺言がない場合、遺産分割は多数決で決めるんですか?

いいえ、相続人の全員一致で決めなくてはいけません。

 

相続人の中に認知症で話し合いができない人がいますが、遺産分割できますか?

 相続人の中に認知症で判断力がない人がいる場合、その方に成年後見人が選任されれば、後見人を相手に交渉や調停を行うことで遺産分割をすることができます。成年後見人選任の申し立ては一定範囲内の親族等が家庭裁判所に対して行うことができます。

 ただし、成年後見人が選任されると、遺産分割の話が終わったからといって解除できるわけではなく、その事由がなくならない限り、選任されたままなので、後見人の負担(弁護士や司法書士などの職業後見人を選ぶ場合は費用負担)も考えて検討する必要があります。

 また、後見人は被後見人(本人)の利益のために行動する義務があるので、基本的に法定相続分を割り込む内容で合意することは難しいと考えられ、本人が行う場合と比べて柔軟な解決が難しいという難点はあると言えます。

相続人の中に行方不明の人がいますが、どうしたらよいですか?

弁護士にご依頼いただければ、戸籍を辿って附票を請求するなどの方法でできるだけ住所地が判明するように努めます。しかし、それでも見つからない場合は、家庭裁判所に不在者財産管理人の選任を申し立てるか、失踪宣告の申し立てを行う、という方法が考えられます。

 不在者財産管理人の選任は、行方不明の人がいずれ戻ってくることを念頭にしたものであり、一方、執行宣告は死亡を擬制するものであるので、要件も効果も違います。したがって、その状況に応じて適切な方法を選ぶ必要があるので、まずは弁護士にご相談頂くのが良いと思います。

 

相続で揉めたら裁判をするしかないんですか?

まずは話し合いで解決を試みることも重要です。弁護士が代わりにお話しすることもできます。それでもうまくいかない場合、一般的には、まずは調停を申し立てることになります。調停で合意に至らない場合には審判に移行することとなります。このように、遺産分割については、地方裁判所の民事部での裁判ではなく、家庭裁判所の調停・審判、という形で解決する仕組みになっています。

(最初から審判を申し立てることも制度上はできますが、その場合は調停に付されるのが原則なので、特別な事情がない限りはまず調停を申し立てます)

*審判結果に対して適法な即時抗告がなされれば、高等裁判所で審理されますので、家裁で完結するとは限りません。

*遺産の範囲、相続人の範囲、など遺産分割の前提問題について争いがある場合は、通常の訴訟を先行することになります。

 

調停をすると何年もかかると聞きましたが、本当ですか?

平成19年度の統計によると、6割以上の案件は、申し立てから1年以内に終了しています。個別案件によりますが、一般的にいえば、数年かかるケースは稀といえるでしょう。

 

調停をしても決着がつかなければどうなるんですか?

調停が不成立になると自動的に審判に移行します。審判では裁判所が分割内容を決めるという形で強制的に決着が図られます。もっとも、審判に対しては、即時抗告という、異議を申し立てる手続きはありますが、申し立てないままに期間が過ぎてしまうと確定します。また即時抗告を申し立てても、高等裁判所で棄却された場合は、最高裁への許可抗告や特別抗告をしない限り、確定します(許可抗告や特別抗告により変更されるケースは希です)。

 

調停がうまくいかないとき、何回くらいで審判に移行しますか?

 調停が不調で終わると審判になりますが、何回の期日まで行なってまとまらないと審判になるかは、場合によります。基本的に、申立人は話し合いをするために調停を申し立てるわけですが、他の相続人が全然話し合う気がなかったり、意見の開きが大きすぎて合意に至る可能性がほとんどないと考えられる場合は、3回程度で打ち切られることもありえます。一方、もともと協議すべき事項が多く相続人の人数も多い場合のように性質上時間がかかることもやむを得ない場合には10回以上の期日が重ねられることもあります。

 例えば、遺産に含まれる不動産が居宅のみならずアパート、駐車場、農地、など多数に及び(そうするとそれらの不動産の評価をめぐっても検討が必要になる。また、相続人のうちだれがどこを相続したいのかという希望も含めて意見を調整していく必要がある)、相続人の一人が被相続人と同居して面倒を見てきた事実があり(寄与分の主張が出されることが多い)、相続人のうち1名だけが大学に進学していて(特別受益の主張が出されることもある)、そして、相続人は全部で5人以上いる、というようなケースでは、全員が納得する案に至るには協議しないといけない事項が多く、そうすると、かなり多くの期日を重ねていくことになる場合もあります。

 ただ、遺産が多数あり相続人が多ければ必ず長期化するというわけではなく、結局のところ、当事者の考え方によるところも大きいと思います。

 裁判所(調停委員会)は、まとまる可能性がある程度あるなら調停を続ける、無理だと判断したら不成立として審判移行する、というのが基本的な考え方だと思われます。したがって、まとまる見込みがない場合には、少ない回数で調停は不調とされて審判に移行することもあり得ます。

 

遺産分割の調停はどこでするのですか?

相手方の住所地を管轄する家庭裁判所で行なうのが原則です。したがって、東京に住んでいる相続人が大阪に住んでいる相続人を相手に遺産分割の調停を申立てるのであれば、大阪家庭裁判所に申し立てることになります。

 もっとも、手続きとしては相手方の住所地の裁判所に申し立てざるを得ないとしても、遠方の場合は、実際にはその裁判所に行かずに電話での調停ができる場合もあります。電話調停を行うかどうかは裁判所の判断になりますが、遠方の場合は認められることが多いです。

 電話で行う場合は、代理人弁護士の事務所と裁判所を電話でつないで行うことになります。その場合、相続人本人は依頼している法律事務所の行き、そこで弁護士とともに、裁判所と電話で話すことになります(電話はマイク、スピーカー機能を使うことで、受話器を持たずに通話ができます)。

なお、弁護士に依頼していない場合は、ご自身が近くの裁判所に行き、事件が継続している裁判所との間で電話をするという仕組みになっているようです。

調停ではなく裁判をするべき場合もありますか?

 例えば、遺産の範囲に争いがある場合は、先に裁判をして決着しておく必要があります。なぜなら、家庭裁判所の審判には遺産の範囲について確定的に決める力(既判力)がなく後から裁判をされると審判の前提とした事実を覆されてしまう恐れもあるからです。そうなると審判が無駄になってしまうので、前提となる権利関係に争いがある場合は先に裁判をしてそのような争いの元をなくしておく必要があるわけです。

 

遺産分割の際の不動産の価格は相続税の評価額ですか?

相続人間で合意できない場合に審判で判断してもらうのであれば、原則として、鑑定人による評価によることになると考えられます。その場合、鑑定の申立てをすることになります。費用は鑑定申立てをした相続人が払うのが原則とされていますが、合意の上、遺産から差し引くという扱いをすることも多いです。ちなみに、鑑定費用は数十万円程度のことが多いですが、遺産である不動産物件が多いとさらに増える可能性もあります。

 また、任意の話し合いや調停の段階であれば、市場価格(民間不動産業者による査定)を利用したり、相続税の評価のための路線価を利用することもあります。

 

仕事を辞めて被相続人の面倒を見ていたのだけど、遺産を多くもらえませんか?

内容次第では、寄与分があるとして多めにもらえる可能性はあります。寄与分が認められると、その分、法定相続分より多めに受け継げることになります。仕事をやめてまで面倒を見ていたということであれば、可能性はあります(仕事をやめることは要件ではありませんが)。特別の寄与により被相続人の財産の維持や増加に寄与したといえるかどうか、が重要です。詳しくはご相談ください。

 

相続人の一人だけが先にお金をもらっていたようです。その人は少なめということになりませんか?

 「婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として」贈与を受けたとされると、特別受益として、その相続人はすでにその分をもらったとして計算することになります。ただし、持ち戻し免除の意思表示がされていたとされると、そのような扱いはされないことになります。  なお、これらは法律上の話であり、当事者の合意でこれと異なる分け方をすることは問題ありません。

 特別受益になるかどうかということで良く持ち出される話としては、1、大学などの学費 2、まとめて贈与 3、継続的な生活費の援助 などがあります。このうち学費については兄弟姉妹とのバランスが問題になります。また、生活費の援助については扶養義務の範囲内かどうかということが問題になります。

 

 

銀行の預貯金も遺産分割協議が終わるまで引き出せませんか?

はい、近年の判例では預貯金も遺産分割が必要な遺産とされていますので、原則として、複数の相続人がいるときには全員の同意がないと引きだすことはできないと考えられます。ただし、民法改正により、一部については単独でも引きだすことができるようになりました。(法定相続分に基づいた金額の3分の1まで、ただし、1金融機関150万円まで)

 その他、家庭裁判所に調停又は審判を申立てて、同時に、仮分割仮処分を申し立てる方法もあります(家事事件手続法200条3項)。

他の相続人が遠方に住んでいても遺産分割事件について依頼できますか?

 はい、問題ありません。例えば、交渉や調停をしたい相手が関西や九州など遠方に住んでいても、ご相談者様が立川か所沢の事務所に来られるのであれば、問題ありません。なぜなら、弁護士は遠方の相手方と電話や郵便で交渉できるからです。

 また、調停の場合も、最近は、遠方の場合、電話調停が認められることがほとんどです。つまり、ご本人様はご依頼の弁護士の事務所に行き、そこと調停が行われている裁判所を電話でつないで期日に出席するという方法が遠方の場合はたいてい認められるので、お住まいの地域の弁護士に相談、依頼することで良いと考えられます。

 

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